小沢事件で『マスコミの世論操作』を糾弾していた”元同胞”が加計学園問題で真逆の立場を取っていることについての雑感

(注)今日は少し真面目な、おそらくはちょっと偏った政治話をします。苦手な方はブラウザバック。

だがそれは加計学園問題によってではない

加計学園をめぐる一連の動きを見ていて、どうしても思い出さずにはいられないことがあります。それは、『政治資金収支報告書の記載方法が、東京地検特捜部の考えとは違っていました事件』をまるで贈収賄事件であるかのようにマスコミに騒ぎ立てられ、半ば政治生命を失った小沢一郎氏のことです。

ぶっちゃけ、自民党の幹事長までやった大物政治家が100%クリーンだなどとは思いません。しかし、少なくともあの事件に関しては、検察は攻める根拠を欠いていた。裁判官のアクロバティックな”推認に次ぐ推認”で、なんとか秘書を政治資金規正法違反で有罪に持ち込んだものの、小沢氏は無罪となります。
結果、人々は「とりあえずあの件については検察側の見込み違いだったんだな」と思ったでしょうか。
思わないでしょう。

東京地検特捜部のエリートが束になっても証拠を掴めなかったのに、「本当はやっていたのにうまく逃げおおせただけだ」と”信じている”。(“なんとなくそんな気がする”などという生易しいものではないのがミソ)
刷り込みの恐ろしいところです。
マスコミはその気になれば、印象操作と報道しない権利の行使によって、人を社会的に抹〇することも可能だということです。
(自民党支持者にはどうも誤解があるようですが、旧民主党の全員が、朝日・毎日辺りにヨイショされていたわけではありません。TBSなどは小沢叩きの急先鋒でした)

当時、私たちはデモという形でその危うさを訴えていました。
しかし、デモで下の写真のような主張を掲げていた人達の多くが、なぜか今、マスコミの扇動に乗って、何の証拠もないままに安倍氏を糾弾しています。
これは、”真の民主主義に至る道を阻害するもの”として自らが批判していた行為を、自ら率先して行っていることになりはしないでしょうか?

安倍氏の支持率が下がるのは構いません。
倒閣運動が盛り上がるのも良し。
しかし、『それが加計学園問題によって』であれば、これは民主主義の危機
そんなことを思ってしまうのは、私だけなのでしょうか。

事実に基づいて加計学園問題の意味を問い直してみる

加計関連文書を、ざっと本ページ末の【資料1】~【資料8】に並べてみました。

【資料1】【資料2】【資料3】【資料5】を見る限り、「今治市は、長年にわたって提案を行ってきた。京産大は動き出すのが遅すぎたのだ。手続き的には何ら問題ない」という自民サイドの主張は概ね正しそうです。
しかし、【資料4】【資料6】【資料7】【資料8】と読んでいくと、新たな疑問がわいてきます。それは、下記(1)と(2)です。

(1)文部科学省の告示(平成15年3月31日文部科学省告示第45号)において新設を規制している分野として、歯科医師、獣医師、船舶職員があるが、この三分野に規制をかけ続ける合理的な理由はあるのか。

(2)獣医師会は「獣医学科新設校が1校に絞られた理由は、自民議員に対する働きかけにあった」と言っているがそれは本当なのか。また、1校に絞ることに決めたその決定プロセスは妥当なものだったのか。

上記(1)に関しては、【資料4】【資料6】で、WG委員(官邸サイド)が繰り返し文科省に答えを求めています。
委員の基本的な考え方はこうです。
「需要は市場が決めるもの。役人が決めるのものではない」
「供給が増え、競争によって、古い知識の中に留まる人が去り、優秀な人に入れ替えられるならそれは良いこと」
「関係者の損得を斟酌するなんてあり得ない」

原則論としては、全く反論の余地がありません。しかし、原則を貫くことで弊害が出る場合もあるでしょう。もし今回の件がそれに当たるなら、文科省側は、原則を曲げなくてはならない合理的な理由をきちんと説明すればいい。でも、それが全く出来ていないわけです。

しかし、新設には反対という文科省の姿勢は、WG委員にやりこめられた後も変わっていません。【資料7】では、「文科省に門前払いされている」と京産大がWGに直訴しています。それに対してWG委員は「不透明だ」と、文科省に対する不信感を露にしている。つまり、この段階でWG委員側には、一校に絞るという意思は全くなかったように見えます。

そして問題の【資料8】です。日本獣医師会会長・藏内勇夫氏は”会長短信 春夏秋冬(42)”の中で、こう書いています。

できれば獣医学部新設決定の撤回、これが不可能な場合でもせめて1校のみとするよう、山本幸三地方創生担当大臣、松野博一文部科学大臣、山本有二農林水産大臣、麻生太郎自民党獣医師問題議員連盟会長、森英介同議員連盟幹事長など多くの国会議員の先生方に、本会の考え方にご理解をいただくよう奔走いたしました。このような皆様方からの多数の反対意見、大臣及び国会議員の先生方への粘り強い要請活動が実り、関係大臣等のご理解を得て、何とか「1校に限り」と修正された改正告示が、本年1月4日付けで官報に公布・施行されました”

つまり、少なくとも獣医師会側は、「一校に絞られた」理由を、上に挙げた自民党議員が動いてくれたおかげだと捉えているわけです。

どうでしょう?
野党がこの問題を取り上げたのは、ある意味良い選択だったと思います。しかし、ツッコミの方向が壊滅的にすれている

「なぜ一校だけにしたのか?」を問うなら、働きかけを行った日本獣医師会会長、働きかけを受けた山本幸三地方創生担当大臣、松野博一文部科学大臣、山本有二農林水産大臣、麻生太郎自民党獣医師問題議員連盟会長、森英介同議員連盟幹事長、そして、結果的に100%獣医師会の意向に沿って動いた文科省に問うべきでしょう。

勿論、今後新しい証拠が出てくれば、また違った結論になるかもしれませんが、現状、手に入る範囲で事実を積み重ねれば、国会に招致して事実関係を確認すべきは上に挙げた方々ということになる筈です。

マスコミの扇動に乗る野党議員は、なぜ自分が将来同じ危険に晒されるとは考えないのか

しかし今、野党議員がやっていることといえば、マスコミの扇動に乗って「安倍は怪しい」の連呼だけ。内閣支持率が下がるなら、何でもアリという勢いです。

勿論、「現行の社会の仕組みは既得権益側に有利に出来ており、奇麗ごとを言っていては政権など取れない」というのは、一面において真理だと思います。
しかし、今回の件についてそれを言うなら、政権を取った後、既得権益集団がメディアに対する支配力を完全に失うまで、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌を全て放送・発行停止にする自信と覚悟があるのでしょうか?
ないと思います。
ロシア革命当時ならいざ知らず、現代の日本でそんなことが出来る筈がありません。
(まあその前に、今の野党の体たらくでは政権が取れるとも思えませんが…)

だとしたら、現在のマスコミの攻撃目標が何であれ、マスコミの”世論操作力”を容認・助長するのは極めて危険です。いつ何時、同じ手で自分がやられるか分からないからです。
それとも、「自分は本気で既得権益集団と戦う気がないから大丈夫」だと思っているのでしょうか。

かつて聞いた印象深い言葉――――「忸怩たる思いです」

小沢氏がさかんに攻撃を受けていた頃、そうした動きに反対する集会に、ある共産党員の方が来ていました。「忸怩たる思いです」というのは、当時のその方の言葉です。
気持ちは分かります。かつて、言い掛かり逮捕で多くの党員を失った共産党が、今叩かれているのが政敵であると見るや、簡単に弾圧する側に回ってしまう。あのダブルスタンダードぶりは、傍から見ていても、さすがにどうかなと思いました。

翻って、今、野党支持者のやっていることは何でしょう?

「改憲を成し遂げそうな安倍さえ潰せればそれでいい」と考えている人に対しては、何も言いません。目的と手段が合っているからです。

しかし、当時、真の民主主義を実現するために抗議の声を上げていた人々が、加計学園問題において事実を確認しようともせず、マスコミの扇動に乗るというのは、理屈に合いません
民主主義が正しく機能している状態というのは、「多くの国民が、正確で不足のない情報に基づき、真に自分の利益に適う政策の提唱者・実行者に国の舵取りを任せることが出来ている」状態だからです。

自民党支持者と旧民主党支持者は、どうも互いに相手を「簡単に騙されるバカ」と見る傾向が強いようです。相手サイドが叩かれているときは「ようやく間違いが正された」、自分サイドが叩かれているときは「弾圧だ」というわけです。
しかし、この問題では、どの政党も被害者になりうる。それを意識して、共闘すべきところは共闘すべきではないでしょうか。
『官僚による支配に待ったをかけると、なぜか潰される』という悪しき前例を作り続けるのは、良いことではありません

【資料1】”要望事項及び各府省庁からの対応(文部科学省、農林水産省)”
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kouzou2/jyoukyou/2008/03/pdf/07_1/mext2.pdf

【資料2】今治市,”構造改革特区提案申請説明資料”,平成20年(2008年)6月
http://www.city.imabari.ehime.jp/kikaku/kouzoukaikaku_tokku/siryo13_01.pdf

【資料3】今治市,”国家戦略特別区域提案「国際水準の獣医学教育特区」添付資料”,2015年6月4日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h27/150605imabari_shiryou02.pdf

【資料4】内閣府 地方創生推進室,”国家戦略特区ワーキンググループヒアリング(議事要旨)”,平成27年(2015年)6月8日
http://www.kantei.go.jp/jp/sinsgi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

【資料5】大阪府・京都府・兵庫県,”関西圏国家戦略特別区域会議(第8回)提出資料”,2016年3月24日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/160324goudoukuikikaigi/shiryou4.pdf

【資料6】内閣府 地方創生推進室,”国家戦略特区ワーキンググループヒアリング(議事要旨)”,平成28(2016年)年9月16日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf

【資料7】内閣府 地方創生推進室,”国家戦略特区ワーキンググループヒアリング(議事要旨)”,平成28年(2016年)10月17日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/teian/161017_gijiyoushi_01.pdf

【資料8】公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫,”会長短信 春夏秋冬(42)「獣医学部新設の検証なき矛盾だらけの決定に怒り」”,平成29年(2017年)1月30日
http://nichiju.lin.gr.jp/test/html/aisatsu/shunkashuutou/log42.html

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