ジャニーズセクハラ問題と報道の自由問題 再び

4/22、NHKの昼のニュースでジャニーズのセクハラ問題が報じられました。本件、ぜひともクロスオーナーシップの弊害を議論する出発点になればと思うのですが、なかなか世の中はそうはなっていないようで…。

この話を聞いて、芸能界に多少なりとも興味のある人なら皆「今さら・・・」と思ったのでは?
「こんなのニュースになる?とっくに知ってたけど?」と。
それだけ知られている問題を、今まで大手マスコミ(新聞含め)はまともに報じてこなかったという話なんですよね。

報じてきたのは、以下に挙げたところぐらい。理由も、まあ多分書かれている通りなんでしょう。公取委の手が入らない世界で損得だけ考えれば、まあそうなるだろうなと想像はつきます。

サイゾー 2004年10月号

引用開始(一部伏字)
道路交通法違反と公務執行妨害で逮捕された稲垣吾郎を、「容疑者」ではなく「メンバー」と言い張るようなマヌケな事態になったのは、あまりにも有名だ。
「このときは各局とも、上層部から『派手に扱うな』とのお達しがありましたからね。本来なら報道の範疇の場合ですらこのありさまです。そういえば、昨年ジャニーズの関連会社の脱税が発覚したときも、同じく配慮の要請が来ました」(民放報道記者)
最近では、ジャニーズ喜多川社長による○○セクハラの有無が争われた「週刊文春」との裁判も、ジャニーズ側が敗訴したにもかかわらず、マスコミには完全に黙殺されてしまっている。
引用終わり

週刊文春1999年12月9日号

引用開始
多くの芸能ジャーナリストが沈黙する中、芸能レポーターの梨元勝氏がこう発言した。
「文春で報じていることは、テレビ局の報道で取り上げていいことだと思うんです。しかし、ジャニーズといえば、ドラマや音楽を作る制作部門からクレームがつくだろうし、テレビというのは芸能ニュースを伝えるメディアとして完壁なものではないんです。今回の文春の報道は、立花隆さんの『田中角栄金脈研究』に似ているところがある。あの時の政治記者のように、後になってみんな、『書かれていることは誰もが知っていたんだ』なんて言いだすのかもしれませんね
引用終わり

「大手芸能プロの爺さんがとんでもないパワハラをかました」というだけの話なら、はっきり言って私たちにはあんまり関係ありません。
でも他の重要な問題でも、TV・新聞(もっと言えば&スポンサー)連合軍に都合の悪い情報を報じない「報道しない自由」の行使は勘弁していただきたいところ。

最近では、ニュース拡散のメディアといえば、TVや新聞よりSNSですが、それでも当事者が隠しておきたい情報は、マスコミの調査報道に頼らざるを得ない面があります。
私たちにとって有用な情報を発信する記者が、不利な状況に陥らないような”仕組み”を何とか作れれば良いのですが…。

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