映画『X-MEN:アポカリプス』ネタバレあり感想

ストーリーの方は、おそらく他の方が詳しく書いてくださってるかと思いますので、いきなり感想から…。
細かい部分についてはツボ満載でした。が、芯となるストーリーがアレすぎました(笑)

まず、エリックの心の動きと行動が説得力なさすぎなんスよね。
暗殺された某ゲイリブ活動家ばりの大演説ぶっといて、能力隠して人としてひっそり生きてるっていうところからして、「それはないだろう」という。

エリック・レーンシャーという人は、子供時代の強烈な体験が元で、虐げられた人々の叫びってヤツに耳を塞げなくなっちゃった人だと思うんです。虐げる側への怒りも抑えられない。
だから仲間助けずに引き籠ってたチャールズを本気で罵倒したし(まあ、後でご機嫌は取ってましたが(笑))、長い目で見れば流す血の総量が少なそうなチャールズのお説には絶対に同意できない。今殺されかかってるミュータントは、今すぐ、力ずくでも救わなきゃならないってわけです。
それがあの状況というのは、少なくとも「平凡な幸せを自分だけが享受することに対する罪悪感」を打ち消すような何があったのかが描かれなきゃ、見てる方は理解できないと思うんですよね。
レイブンがミュータントを助けて歩いてましたけど、あれって、本来エリックの仕事じゃないかと思うんです。

最後の改心にしても、ちょっと訳が分からない。
レイブンの説得は完全に想定内レベルのものだったでしょうし、あの回想シーンなんて、今まで数えきれないぐらい思い出してきたでしょう?
あれで思い直すなら、もっと早く思い直してないか?という…。
自分は「全てを破壊したい」のだと思い込んでいたけれど、実はまだ守るべきものがあったと気づくようなネタが提供されて初めて、あの行動に出るんじゃないでしょうか。(例えば、チャールズがピーター助けようとして致命傷負って、テレパスで「エリック、助けてくれ。もう君が家族を失うのは見たくない」とか何とか言うとか…)

ただ、キャラ同士のやりとりだけは、妙によくできてて、ツボをついてくるんですね(笑)
レイブンが学園に現れた時のハンクの上がり具合とか、「エリック」と聞いてあからさまに嫌な顔するところとか、兄妹のガチ論争とか、生徒どうしの微妙な距離の測り合いとか、はっきり口に出さすにお互いを励ますあの感じとか。

教授のキャラも激しくツボでした。
DoFP後はすっかり聖人君子になっちゃったんだろうなと思いきや、ナンパしまくってたFC時代のノリが残りまくり(笑)
「にっこり笑えばすべて許されると思ってるだろ!」系のあざとい感じも残ってて、非常に良かったです。(いい年したオッサンのくせに…!)

モイラが昔より美人になってたのも予想外。
ナイトクローラーがえっらい可愛かったのも予想外。(以前…というかもう一つの未来の彼もすんごいイイやつでしたが…)

エリックの愛妻・子煩悩なオヤジっぷりも、状況の不自然さはさておき、幼児期までに形成された本来のキャラ的には、コレが一番合ってるんだろうなという感じがして良かったです。(まあ、あんな異次元レベルに可愛い娘が居たら、誰でもああなるか(笑))
チャールズが、おっかなびっくり「こうかな」とか「こうすべき」とか思いながらやってることを自然にできちゃう人ですよね。

ストームが「憧れのお姉さまに何てこと!」であっさり裏切るところとか、さらわれた教授がなぜか上着敷いた上に寝かされてるとか、一見「?」だけど、「まあ、この人ならこうするよね」って部分も笑えました。

「三作目はたいがい最悪」というお遊びセリフもよかった。
最後にチャールズが「浜辺」って言いだしたときは、「何言い出すんだ~!!」と思いましたが(笑)
チャールズ的には、あそこからまたやり直せるって感じだったんでしょうが、アレにトラウマ持ってて、全然別の捉え方する人も居るかもしれないから気を付けてくれって感じですよ(←いや、それは考え過ぎ(笑))

それにしても、あの後エリックどうするんでしょうね。ミスティークがまじめに軍隊作りとミュータント救出始めたら、ブラザーフッド要らなくね?と思うんですけど(笑)
犯罪者が学び舎に居られないのは分かりますが…。

というわけで、再起動版の三つを見ましたが…うーん、やっぱり『First Class』(ファースト・ジェネレーション)だけ頭一つ抜けてるなという感じでした。
とにかくキャラが全て、「こういう過去を持って、こういう環境に居る人間ならこう考えるし、こういう行動を取るだろうな」と思えることをやってくれるので、感情移入がしやすかった。
あれだけ沢山のキャラの過去を、観客が分かった気になってしまうのはすごいと思います。短い言葉や仕草や表情に意味を持たせるのが上手いんでしょうか。
子チャールズが子レイブンの姿見て、ほっとしたように笑うところなんて、もう映画のラストシーンでもいいぐらい(笑)
キング牧師が例の「I have a dream」演説をやったその場所を見渡しながら、リンカーン像を背にエリックとチャールズが語るシーンなんかは、普通のバカっぽいヒーローものならまずありえないメタファーです。
唯一…というか唯二の難点は、ショウを殺すなと必死にエリックを止めてたチャールズが、「ではどうしようと思っていたのか?」、そして、エリックはなぜあんな説得の仕方であっさり引き止められたのか(笑)。そのくらい。
「エリックに『怒りに任せた復讐の道』はもう歩ませない。代わりに僕があいつを廃人にしてやる」だったら、「何それ男前」なんですが、当時の坊ちゃんなチャールズにそれは無理でしょう。いや、あれだけは本当に謎です。

次はウルヴァリンものらしいですね。個人的には期待薄なので(あの人メインになると、一気にアメコミくさくなるので)、とりあえずジェームズ・マカヴォイさんとマイケル・ファスベンダーさんのカメオ出演でも期待しておきます。

あ、そうそう。今度の日曜洋画劇場、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(X-Men: First Class)やります。まだ観てない方は是非!
(言いたいのはそこか!(笑))
http://www.tv-asahi.co.jp/nichiyou/contents/title/0004/

<追記8/17>
ものごっつ気になってたことがあって、もう一回見に行ってしまいました(笑)
最後、モイラに「どこにいるか分かる?」と訊かれて、「I’m on a beach(浜辺に居る)… in Cuba(キューバの)」の後、「with him」というモノスゴイ空耳が聞こえた気がしたんですが、もう一回聞いてもやっぱり空耳が聞こえます…。
この場面、ヴォイ先生ガン見しててつい字幕見逃がしちゃうんですが、あの後の映像とセリフを考えると、「with you」しかありえない。なんかアタマおかしくなったのかもしれません…。(まあ、一番「もう一度ちゃんとやり直したかった&帰ってきて欲しかった仲間」といえば彼でしょうけど、さすがにそれは…(笑))
というか、もう一回観に行って書くことがそれかよ!(笑)
あ、エンサバを、なんか妙にイキイキした顔でぶん殴る黒ゼビアも良かったっす。(←いや、だから…)

(※この投稿は、旧サイトからの転載です)