経営者が平和ボケ&ITに疎いとお嘆きの方々へ
新型コロナウイルス絡みで、JRでも水曜辺りからテレワーク・時差出勤を勧めるアナウンスが流れ始めました。
「いや、それを我々に言ってどうしろと?」とは思うのですが、化石頭の経営者の判断を待っていては自分と家族の身が危ない。
仮に危なくなくても、社員を日々満員電車に乗せ、その中から感染者が出ようものなら信用はガタ落ち。この先、採用枠が埋まらず、うっかりすれば倒産ということにもなりかねません。
「そんな会社にはさっさと見切りをつけろ」という意見も勿論あるでしょう。基本的にはその通りだと思います。
今回の件に対して何の対策も打っていない会社は、まともなリスク管理ができない会社か、極端に効率を重視してリスクを許容するタイプの会社であって、どちらにしても社員が長居すべき場所ではないと思うからです。
でも、現実問題として、一時的にでも給料が止まること、下がることを許容できないという人が大半だと思います。
ではどうするか?
これはもう、化石頭を説得するしかありません。
まずは適切なBCPを持たない会社のヤバさを訴える
これは人権派の方々や宗教系の方々が割と誤解しているところなのですが、企業はそもそも社員を守るために存在するわけではありません。ですから、社員側から何かを要求する場合、それに応えることが「利益を増やす」「損失を減らす」のどちらかに貢献すると納得して貰う必要があります。
別の方法としては、国や国際機関に規制して貰うというものがありますが、これは個人レベルで何とかできる話ではないので割愛(笑)
で、のんびり経営者にまず訴えるべきことはコレです↓
※中小企業庁「BCP(事業継続計画)とは」より
“緊急事態は突然発生します。有効な手を打つことができなければ、特に中小企業は、経営基盤の脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあります。また、事業を縮小し従業員を解雇しなければならない状況も考えられます”
“緊急時に倒産や事業縮小を余儀なくされないためには、平常時からBCPを周到に準備しておき、緊急時に事業の継続・早期復旧を図ることが重要となります。こうした企業は、顧客の信用を維持し、市場関係者から高い評価を受けることとなり、株主にとって企業価値の維持・向上につながるのです”
ヤバいのは分かったけどどうすりゃいいのさ
現状、PC作業、電話/Web経由のご相談系作業以外で、在宅勤務というのは難しいと思います。これは、交代制を導入するなり、通販の割合を高めるなりして、時差出勤をしてもOKな仕事の進め方を模索するしかありません。
在宅勤務が可能な職種は、これはもうドンドン導入すべきです。では、その際にハードルとなるのはどんなことでしょうか?
具体的な手段を考える前に
下々の目から見ると非常にアホらしいのですが(笑)、まず「そもそも機密情報の定義、レベル分けがなく、何をどこまで守ればよいか分からない」、「セキュリティ事故が起こったら、誰がどこまで責任を問われるのか分からない」、「機密保持契約とかナニソレ」といった段階にあり、「在宅っつっても、誰にどこまで許していいか分かんないんですケド…」な状況にある会社が多いのではないかと思います。
こういう会社で、いくら手段の話をしても、絶対に在宅勤務導入に踏み切っては貰えません。まずは、このベースの部分について、案を作って持って行く必要があります。
なんか気が遠くなる話ですが、何もしなかった場合に起こりうる最悪のシナリオで脅せば、判断は多少早くなるんじゃないかと思います。多分…。
で、手段としては何がいいの?
全部クラウドに引っ張り上げてシンクラとか、イロイロと方法はありますが、日常的に個人ノートPCを社内LANに繋いで作業しているような会社では、これにPC操作ログ管理とコミュニケーションツール(TeamsとかSlackとか)入れて持ち帰って、インターネットVPNで繋ぐ、というのが一番取っつき易い方法じゃないでしょうか。
ただ、こういう自社サービス「売らんかな」系の方々の「怖いぞ」警告はそんなに的外れなものでもなく、導入にはそれなりにリスクもあります。↓
VPNが絶対安全とは言い切れない!セキュリティリスクについて詳しく解説
VPN接続とは?VPNの基本とメリット・デメリットを紹介
とりあえずここ数日の安全を確保するだけなら、「直近で必要な最小限のデータだけクラウドに上げて作業」とか「作業分担きっちりやって、オフライン時にも操作ログ取れるソフト入れて、必要なデータだけ入れたPCをオフピークでお持ち帰り」とか、「なんちゃって」的なところを狙った方が良いかもしれません。
まずは出来るところから、効果をを確かめつつ…的戦法の方が、首を縦に振って貰える可能性は上がるかも…。
なぜか派遣社員には在宅勤務が認められないんですが…
実は弊社もそうです(笑)
いや、「派遣さん出社できなくなったら仕事止まらね?」「派遣さん病気にしたら、信用失墜なんてもんじゃなくね?」「そのうち、派遣元さんからも『もう出せない』って言われるんじゃね?」と突っ込んでも、謎理論で無理と言われる(笑)。
正直、イラっとするのですが、ここで拒否られないためには、これはもう働く側が「労働力を売らない」という手に打って出るしかないんじゃないかと思います。
今カツカツの生活を余儀なくされている人達は、とにかく横の連携を強化して「みんなで拒否る」「短期間で決着させる」を目指すしかない。(組合があれば、スト中の給与は組合費で穴埋めされるのですが…)
そして将来的には、出来るだけ代価をきちんと(?)ふっかけて金を貯め、「無茶言われたら拒否れる」自由を手に入れておくのが吉だと思います。
とくに今後は、ギグワーカーがどんどん増えていく筈。リスクを見ずに正社員給与レベルで妥協してしまうと、後でえらい目に遭そうです。
在宅勤務は意外と楽じゃない
在宅勤務は、カメラ監視されている場合を除き、周囲に『仕事をしている』と認めてもらうには、成果を出すこと、呼びかけに対して即応すること、が求められます。
ぶっちゃけ、おちおちトイレにも行けないぐらいの緊張感です(笑)。
子供がいる人は、電話会議に子供の声でも入ろうもんなら、「お前、実は仕事してねぇだろ」とか「機密保持上、君んとこで在宅は無理」的扱いを受けること請け合い。
ビデオ/電話通話があるとはいえ、人と話す機会は明らかに減りますから、話好きの人にとってもまた辛い。
また、周りから気軽に声をかけて貰えないので、間違った思考にハマりこんでいることに気付かず、延々と仕事を続けてしまう場合もあります。
大型のモニタが自宅にない人も、作業効率がかなり下がることを覚悟した方が良いです。
通勤ないって楽じゃね?ぐらいの勢いで申請すると、結構辛い思いをすることになると思います。
「オフィスにいるのと同じように」には、住宅事情の改善だとか、コミュニケーションツールの進化が必要ですね。
…というところで、次はちょっと違う次元の話。
ここが人類という種の正念場?
スピリチュアル界隈の方々はよく「全ては必然」という言い方をされますが、この「全て」というのが、昔からものすごく気に入らない(笑)
これを口にする人には、どうも「自ら招いた事態に苦しんでる人まで思い遣る、なんて慈悲深い私」的上から目線を感じるんですよね。(まあ、自分が卑しいからそう感じるんでしょうが…)
霊長類はだいたい、種の存続のために仲間同士助けあう性質も持っているわけで、それと「世界は不条理である」という認識を上手く組み合わせた方が、実はヤサシイ世界になるんじゃないかと。
ただ、今回の件については、これを因果応報と捉えた方が人類の為という気がするのです。(まあ、今回の新型コロナウイルスがもし「目から感染」と分かった場合は、眼科医の李文亮医師氏が言論弾圧を受けた後に亡くなった件がシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)として意識され、嫌でも『意味を探る』流れになるかもしれませんが…)
我々の社会は、リスクを無視して極限まで効率を高めたサプライチェーンを組んできました。
実作業、とくに肉体労働に従事する人々を軽視し、ルール作りをする人や投資家ばかりを優遇してきました。
儲ける為なら、どんな独裁国家の、どんな言論弾圧にも人権侵害にも、ことごとく目を瞑ってきました。
「あるところにはある」カネが行き場を求めて定期的に市場を大混乱に陥れても、それを止めようとしなかった。
そして現在、既にサプライチェーンは寸断されています。
このまま行けば、実作業に関わる人々が、『病気』よって結果的に『スト』のような状態に突入するのは時間の問題のように見えます。今まで、彼らをいくらでも替えが効くモノとして扱っていた人々は、いったい誰のお陰で今までの生活が成り立っていたのか思い知る羽目になるかもしれません。
もし中国の経済が、軍隊を養えないほどに傾いたとしたら、虐げられた諸民族の反乱を抑えられるとも思えませんし、少なくとも口で「人権を重んじる」と言っている国が「金の切れ目が縁の切れ目」「どうせ経済成長したらまた狂暴化するんでしょ?」で掌を返しすることは容易に想像がつきます。
“原因”と”結果”の間には、理屈で考えて直接関係が有るものも無いものもありますが、直感的なレベルではなんとなく「ああ、そりゃそうだよね」と腑に落ちる部分があるんですよね。
これを利用しない手はないと思うんです。
今回の問題で、望むべきものは「元通りになること」であってはいけないと思うわけです。
顕在化しつつある問題を放置し、「元通り」になったところで、その先に期待が持てるでしょうか。
あえてオーバーな言い方をすれば、『資本主義以後』の世界というものを真剣に考えるべき時に来ているんじゃないでしょうか。
この武漢肺炎では、既に大勢の犠牲者が出ています。消えてしまった多くの未来を無駄にしないためにも、ここから学べることは学べたらと思います。