ネット民に“パヨク”認定されそうなデモに、私はこれまで結構な回数参加しています。
しかし、やはり途中で脱落。理由は、参加者の多くがなぜか互いに関連のないいくつかの主張をワンセットとして様々な場で発信し、そのうちのいくつか(とくに安保関連)が私の目から見て非常に荒唐無稽なものだったからです。
要は、「この人達の声が広まれば広まるほど、その主張が全て『お花畑な人たちの妄言』扱いされてしまうかもしれない」と思ってしまったわけです。(活動を仕切る時間も気力もない身としては、最初は、そうした場を与えていただくだけでも有難いと思ったのですが…)
予想は、どうも的中してしまったようです。
しかし、なぜか野党はこぞって、声の大きな彼らを”反安倍の多数派”と見なし、取り入ろうとしているように見えます。彼らの見立ては正しいのでしょうか?
最近の民進党の支持率低迷は、この件とは全く関係がないのでしょうか?
デモや集会に参加している人達の多くは、定年を少し過ぎたぐらいのご年配の方々です。ご年配と言っても、普通にiPadで映像を撮り、SNSで情報発信をするようなアクティブシニア。要するに、金も時間もそこそこ自由になる人達です。
彼らの声がある層の声を代表しているのは確かですが、少なくともそれは、金も時間も自由にならない現役世代の声でないことは確かでしょう。
では、”そういう”現役世代が何を考えているのか、その一例(要は自分のこと(笑))を書いてみます。
万が一、うっかりこのページを開いてしまった左派/リベラル政党の党員の方がいらっしゃいましたら、ご一考を――――。
『戦後から今まで日本が他国から攻撃を受けなかったのは、憲法第九条があったから』ではない
要は、「アメリカが九条の改正を許さなかった時代(=日本が自主防衛に乗り出すことをアメリカが警戒していた時代)」と、
「アメリカが異次元レベルに強く、『日本は”防共の砦”だから死守する』という姿勢を見せていた時代」と
「中国が今より格段に弱く、かつ、共産党政権が安定していた時代」が、たまたま重なっただけのことだと思います。
「九条があったから」と思える世代は、ある意味幸せな世代かもしれません。
『戦争できる国』=『戦争になる国』ではない
尖閣で接続水域や領海への侵入を繰り返し、『釣魚島や沖縄の主権を日本から中国に返還させる訴訟』まで起こそうとしている中国。アメリカが「尖閣は日米安保の適用範囲内」と言った途端、猛然と噛みついてきたところを見ても、脅威でないというのは、あまりにもお花畑でしょう。
一方、斜陽のアメリカを目にしながら、「アメリカが守ってくれるから安心」というのもまたお花畑です。
戦争が起こるのは、パワーバランスが崩れた時だと思います。
反戦を叫び、軍備増強や国際間の防衛協力強化に反対する人達は、「より中国が手を出しやすい状況(つまり、より戦争が起こりやすい状況を)作ろうとしている」という事実に気付いていないように見えます。
脱原発デモのシュプレヒコール「命を守れ!」「子供を守れ!」は意味不明
原発を停めたら原発で潤っていた自治体は阿鼻叫喚です。生活保護がなぜか機能しない日本では、自殺者も出るかもしれません(←要は命も子供も守れないかもしれない)。
それでも原発を”終わりにする”理由――――それは、長期的に見て日本の”得”になるからです。
まず、原発は割高な発電方式です。さらに今後、(土地が無尽蔵で人の命が安い一部の)新興国でガンガン原発建てられたら、燃料価格上昇でますます状況は悪化していくでしょう。燃料だって無尽蔵ではありません。
おそらく、使用済み燃料の処分費用、事故対応、保障など、とにかく国や地方自治体が一切の金を出さないと言えば勝手に淘汰され、消えていく筈です。
“終わった”技術やインフラに人・物・金を投入するのは無駄としか言いようがない。潮流発電なり地熱発電なりメタンハイドレートなり、これからの技術に金を突っ込むべきです。
後追いになると、知財や標準化や人材(必要なスキルを持った人が居ない)の面で、非常に不利です。
『移民受け入れ反対は差別』ではない
反移民は、中間層未満にとって純粋に経済的な問題です。
労働力の売り手が増えて、賃金が下がらない筈がない。「移民を入れれば需要も増える」は勿論正しいと思いますが、経営者側は「まともな給料を払う気ないからこそ、多少言葉が不自由でも、日本のビジネス習慣を知らなくても移民を雇う」わけですから、その効果は限定的でしょう。
それよりも、『安価な労働力が簡単に手に入るから、イノベーションを先送りにする』という土壌を作ることの方が問題です。単純労働者はいずれ劇的に求人が減るのに、それを抱えてしまうことも大きなリスクです。
結局のところ、単純労働者の移民受け入れば、経営者サイドと老後世代がごく短い間得をするだけでしょう。この辺りに対する無理解が、全世界的に左派政党が低所得者層の敵となってしまっている主要因のように思います。
残業100時間より森友問題?
『二人雇うより、一人を長時間こき使った方が得なシステム』――――これが根本的な問題だと誰も指摘しないまま、『働き方改革実行計画』なるものが通ってしまいました。
現在の日本社会では、8:30始まりの会社で夜7時に退社しようと思ったら、同僚や上司の白い目に晒される覚悟が必要です。それなりのスキルがない場合は、直ちに即戦力外通告でしょう。
要するに、日本の一般的社員の働き方は、家事から育児から全てやってくれる同居人がいて初めて成り立つ働き方なわけです。保育園なんて作っても、何の意味もありません。「保育園落ちた。日本死ね」と言ってる人たちは、おそらく責任ある仕事を任せられている人達ではないでしょう。
そんな状況で、女性が何を考えるかと言えば、『自活能力を奪われる結婚・出産なんてしたくない』と『そんな働き方できないから辞めます』の二択。
リベラル派議員は、少子化や女性の社会進出が遅れていることを問題視する割には、その根本的な原因である”男性の労働時間問題”にはなぜか言及しません。
女性が求めているのは”特別扱い”ではないのです(“特別扱い”に耐えられる人は、相当神経の太い人でしょう。日本人のメンタリティには合いません)。男女ともに普通の暮らしができる働き方です。今のままでは男性だって、嫁が病気にでもなったら一巻の終わりです。
べらぼうな時間外割増率とサビ残厳罰化をもってこの問題を解決し、労働生産性の低い企業を駆逐することが日本再生への第一歩だと思うのですが――――。
といろいろ書いてきましたが…
活動家の方々のバイタリティーには敬服しています。これは本当に凄いと思います。
私たちも、言いたいことがあればきちんと発信すべきですね。限られた時間の中ではありますが(泣)
おまけ:
鳩山由紀夫氏政界復帰のニュースが流れました。野党の皆さんには、これに安易に乗っていただきたくないですね。