SUPERLOSERZ SAVE THE EARTH 負け犬は世界を救う / 新国立劇場(2015年12月5日) レポ

行ってまいりました!初日
(こちらは、微妙にクリスマス仕様の新国立劇場↓)

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まず、千葉氏の顔芸(?)とか、無重力な感じの少年系アクションが好きな方は観に行った方がいいです。(←叩かれたのか自ら自覚してなんとかしたのか、芝居はえらい上達してました(笑))

見た目については、もう「なんかヤバイ薬使ってんじゃないの?」ってぐらいに若くてびっくり(笑)
仕草も表情も体型もすごく少年っぽくて、正直「この手があったか!」と思いました(笑)
暗髪に短髪という、二大ありえないと思ってた髪形が似合ってたのにも驚愕。(前髪長めが勝因か?)
なお、表情については、このシーンは必見です↓

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(すみません、ぜんぜん表現できてません・・・・)
ラストのキーになる部分なので、頑張ってくれたんでしょうか?
とりあえず、クンフーの道場で赤ちゃん抱えた女性が出てきたら双眼鏡を構えてお待ちください

敬多氏については、技術系ヲタ役があんなに似合うとは思いませんでした。
なんというかもう、正しくハンク・マッコイ(笑)

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あのユニフォームが出てきたときは、戦闘機まで一夜にして開発しちゃうんじゃないかとハラハラしました。(←なにげにKREVAさん『X』だしな・・・)
ちなみに細かい話ですが、工場の机の上に水差しが載ってたのはリアルでよかったです。(←はんだのこて台のスポンジに差すアレ。まあ、電気系と化学系と機構系がごっちゃになってるのは全くリアルじゃなかったわけですが・・・(笑))
ついでに、ぼっちご飯とか、女性に声かけられてきょどるとか、疲れたらその場で寝袋入って寝ちゃうとか、専門分野について質問されるとやたら雄弁になるとか、ヲタがついやってしまいそうなこともぜひ取り入れていただきたいですね。

で、ストーリーの方はと言いますと・・・・これは、人によって好き嫌いが非常に分かれる話だと思います。
自分に関して言えば、まあ「ないわ」でした(笑)
展開のありえなさは「コメディですし〜」で十分笑えたのですが、物語が持つ『メッセージ』については正直、「どうなんだろう」という感じ。

負け犬が世界を救うことはあると思います。ただ、負け犬が自分達だけの力で、それも、ほぼ気合だけで大きなことを成し遂げるというのは、まずありえないと思います。
ありえないことを説教くさく勧められるから、「ないわ〜」になってしまうんじゃないかと思うんですよね。むしろもっと徹底的に下らない感じに仕上げてくれた方が楽しめた気が・・・

例えば、どこかの資源豊富な惑星が巨大ゴキブリの楽園だったとして、人類は、彼らを駆除するのにまず躊躇はしないと思います。ゴキブリが子供を守る姿を見ても、それは変わらないでしょう。
ただ、もしゴキブリ(この物語では人間)が、身を挺して人間(この物語では宇宙人)の子供救ったら、途端に「彼らは高い宗教心・道徳心を持つ知的生命体でないか」という議論が沸き起こり、ひょっとしたら共存共栄の道も開けるかもしれません。まあそこまで行かなくても、イルカやクジラ並みの扱いをして貰える可能性は結構高いと思います。
もし宇宙人が、人間を根絶やしにするのではなくこき使いたいと思っているなら、捨て身で戦う姿をTVで流してもらい、これによって一斉蜂起を狙うというのもありでしょう。

ただ、繰り返しになりますが、金も権力もコネも力もない人間が何か大きなことを成し遂げるには、多くの人、または、多くの人に匹敵する有力者の『共感』『同情』『協力(←下心はあっても)』を得ることが絶対に必要だと思うんです。
北ベトナムとか、公民権運動とか、クラウドファンディング使って成功したスタートアップとか、このタイプの成功例は結構ありますよね。
これを得るだけの先見性と強い意志と戦う姿(場合によっては上手い交換条件や、同情を誘う悲惨な姿も)を見せることこそ、弱者の努力の『正しい方向性』じゃないかと思うんですよ。

余談ですが、あの神様も結構酷いです(笑) ロープの外で、ボクサーに「いい試合を見せろ」と嗾けてる観客にしか見えなかった。
カマちゃん系キャラについても、ダンサーさんは素晴らしかったのですが、キャラが非常にステレオタイプだったのがどうも・・・

───ということを考えてしまうか、「夢のあるファンタジーだ。勇気を貰った」と思えるか、その辺がこの作品に『入れる』かどうかの分かれ目になるんじゃないかと思います。
まあでも、余計なこと考えなければ、どなたでも楽しめる作りになっていると思いますので、行って損はないかと───(とフォローしてみる(笑))

というわけで、まだ公演は沢山ありますので、その他の感想はおいおい・・・
それではまた

2015年12月06日22:12更新
赤坂杳子