舞台『WASABEATS』2015 Zeppブルーシアター六本木 (その3)
一昨日はラクガキ描き逃げしてスミマセンでした。とりあえず大阪出発前に、頑張って上げてみました。
ストーリーにつきましては感じたまんまを書いてますので、かなりの勘違いがあるかと思いますが、何卒ご容赦のほど・・・
(注)台詞なしの舞台ですので、下記台詞は全て妄想の産物です。
舞台は現代───なのですが、なぜか登場人物はみんな忍者(笑)
涼平は、カムフラージュに星条旗を使ってしまうようなドジっ子で、もう一人の主役、壮一は腕だけは最強なキャラです。(ちなみに星条旗の裏は迷彩柄で、こっちを使うつもりだった模様)
旗に隠れて現れた涼平は案の定、壮一に容赦ない手裏剣攻撃を食らい、頭に手裏剣が刺さった状態(←頭痛で国に帰ったイギリス状態(笑))で壮一に向って行きます。が、レンズを向けられるとこんなポーズ(笑)↓
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実力重視の世界であれだけ弱ければ、重度のいじけキャラになっても不思議はないのですが、この人にはどうもそういう暗さがありません(笑)
そして場面変わって、涼平と壮一の試合(?)のシーン。多分、免許皆伝か何かをかけた戦いだと思うのですが、なぜここで涼平が引っ張り出されたかは全くもって謎(笑)
実力の差は歴然。壮一はスマホ片手にまさに『片手でも勝てるぜ』モード。しかし涼平にスマホを壊されたことでマジ切れし、火の玉をぶつけようとしたところで豪さんに止められます。
涼平は倒れたまま起き上がらず、勝負に勝った壮一は「巻物をよこせ」と豪さんに詰め寄るのですが、豪さんは渡しません。怒った壮一は仲間を殴り、そのまま逃亡。抜け忍として追われることになります。
次のシーンは、映画やドラマで言えばオープニングのタイトルバックに相当するダンス。涼平は妙にカッコいいポーズで決めてくれるのですが、本編ではこの後しばらくダメダメ状態が続きます(笑)
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壮一を追う涼平は、街で偶然壮一を見つけます・・・というかむしろ見つけられます(笑) そして必死で自分を鼓舞し、向って行くも、あえなく撃沈。
しかし、食べ物を奪われた振りをして、発信機を飲ませることに見事成功。(意外と知恵が回るキャラだった模様)
そして、なぜかここで、居場所を仲間に教えない見返りに技を教えろと要求します。どうやら彼にとっては、強くなることが掟の遵守より遥かに重要なことだった模様・・・。
それにしても、あれだけバカにされた相手に教えを請うとは涼平氏、ある意味、冷静&柔軟すぎて怖いくらいですね。
壮一は、ものすごく嫌そうにこれを承諾するのですが、とにかく一所懸命で、一つ技をマスターするごとに喜ぶ涼平を見て、だんだんとやる気に。
しまいに、眠り込んだ涼平のポケットから受信機を奪うも、そっと元に戻してしまう始末です(笑)
そんなこんなで楽しく(?)修行に明け暮れていた涼平と壮一ですが、追っ手の包囲網は徐々に狭まり、ついに涼平が捕まってしまいます。
居場所を教えろという豪さんに、あくまで知らないと言い張る涼平。「壮一の足を引っ張りたくない」という意地全開なところが、実に男の子ですね。
豪さん振り払って丸くなる姿は、ほとんど引きこもりの中坊って感じですが・・・(笑) (いや、でもこのシーン結構好きなんです)
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涼平の口から壮一の行方を聞き出すのを諦めた豪さんは、術を使って涼平と壮一の心を読もうとします。ここで二人の『心』の化身として登場したのが皆川まゆむさん。
以前、雲門(クラウド・ゲイト)舞集の来日公演見て圧倒されたワタクシですが、なんとなくアレに似た匂いを感じました。あのときは「色気があって美しい版の山海塾」とか失礼な(いや、山海塾は日本が誇る芸術です)こと言ってましたが・・・(笑)
とりあえず、ピナ・バウシュとか金森穣とか観て、「二杯目はお腹いっぱい」とか、「表現したい世界が勝ちすぎて美しさが足りないんじゃないの?」系の感想を持ってしまった人にはオススメです。
話は戻って、まゆむさんのダンス。
「あいつを許してやってくれ。認めてやってくれ」と切々と訴える涼平に対し、壮一はあくまで攻撃的で、「涼平を返せ。どうしてお前はオレの邪魔ばかりするんだ!」と掴みかからんばかりの勢いです。
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そしてついに、涼平の居場所を突き止める壮一。
何故来たんだ?と半泣きになって言う涼平に、一昔前の不良ドラマで言えば「ダチじゃねーか。一緒にテッペン目指すんだろ?」風に拳を突き出して応える壮一。
ぶっちゃけ「見てるこっちが照れるわ!」と言いたくなりますが、みなさん、ここは素直に感動してください(笑)
そして出口を塞ぐように現れた忍者三人を蹴散らし、壮一はそのまま逃げようとするのですが、涼平はあくまで豪さんと勝負すると言い張ります。そして激しいバトルの末、ついに壮一は豪さんと一対一で対峙することに。
しかし、いくら壮一が強いといっても、豪さんはそう簡単に倒せません。ダメージを食らった壮一は怒りで我を忘れ、火の玉で豪さんを殺しかけます。
そこに現れた涼平。ぱっと手を差し上げると、瞬時に火の玉は氷の塊に変わり、粉々に砕け散ります。
呆気に取られる二人。しかしすぐに我に返り、壮一に向って行こうとする豪さんの前に、涼平が慌てて立ちふさがります。そして、「許してやってくれ。もう一度チャンスをくれ」と説得。
願いは聞き入れられ、もう一度涼平と試合をすることになった壮一。今度は本気で戦います。そして激しい技の応酬の後、壕さんが割って入り、二人に巻物を渡して大団円───というストーリーでした。(ふぅ疲れた・・・)
ストーリーの方は、一言で言えば壮一の成長物語ってヤツでしょうか。
涼平は、元々ヤケクソなまでにポジティブなキャラなので、劣等感が消えたこと以外はそんなに変わってない気がするんです。根性はあるし、考え方も柔軟で人懐こい。ただ、「こいつはダメだ」と決め付けられ、チャンスが与えられてこなかっただけ───という感じ。
それに対して壮一は、なまじ才能あったのが災いして、「天才はいいよな。どうせオレらはお前とは違うし」という感じで仲間に一線引かれ、本当の意味で誰かに必要とされたことはなかったキャラなんじゃないでしょうか。結果、「てめーらみたいに弱ぇヤツ相手にしてられっかよ」とひねくれ、どんなに努力しても仁義を重んじるリーダーには認めてもらえず・・・そんな袋小路から引き摺りだしてくれたのが涼平だったんじゃないか───と勝手に妄想してみました(笑)
この涼平のキャラは何がすごいって、ちょっと出来るようになったからって壮一に勝てるんじゃないかと思って挑戦してボコボコにされて本気で凹んでるところ(笑) 壮一に出来ることは絶対に自分にも出来ると信じてるんです。ものすごいポジティブ思考ですよね。
それから、過去に受けた仕打ちに対して一切のこだわりを持たないところ、こういうヤツだからこういう反応をされるに違いないと脳内シュミレーションで自己完結しないこと、感謝の気持ちをウザイぐらいにストレートに伝えるところ。
ぱっと見、ただのアホな子なのですが、捕まったときに壮一の方が捨てられた犬コロみたいになってたのも理解できます。
だいたい、受信機なんて例の『人の動きを封じる術』を使えばすぐ奪えるんですよ(笑) それをしなかったのは、無意識に関わりを断ちたくないと思っていたからでしょう。例の『ポケットに戻し』事件なんて、傍から見れば「何今頃そんな儀式みたいなことやってんの?」って感じですよ(笑)
そんなこんなで若干こそばゆいような話でしたが、場面展開は起伏に富み、ダンスは素晴らしく、二人のコミカルな演技も笑えるもので(あの脱兎のごとく逃げる涼平と追う壮一には笑った・・・(笑))、非常に楽しめた舞台でした。
ダンサーさんの中で特にヒットだったのは、やはり皆川まゆむさんですね。憑依っぷりと空気の表現がスゴイ。立ち姿も超絶に美しく、表現はアレですが、女子高の「お姉さま」文化が初めて理解できたような気がします(笑)
というわけで、東京レポは終了です。
最後に金曜のアフタートークネタを一つ───。
「みんなを見るたびに胸が痛くなって、なんか苦しいんです。みんなが一所懸命やってるの見たら・・・」と豪さん。
その後の涼平のコメントがコレ↓
「僕は、ストリートダンサーの知り合いとか友人が多いんですけど、世界でトップを取ったり、普通じゃできないことをやってる人が日本には沢山居るんですよ。なのに、それがなかなかフィーチャーされていかないっていうのが日本の現状だと思うんです。それが僕自身すごく悔しくて───。そういう人達の思いがこの舞台にはすごく詰まってる。それを皆さんにも感じていただけたんじゃないかと」
それを聞いた豪さん、「オレが胸痛なるの分かるやろ?」
なんというか、非常に熱さが伝わってくるやりとりでした。
まあ、日本はストリートに限らず、ダンサーというものに対する評価自体がちょっと低い気がします。
昔、Bugs Under GrooveのTETSUさんが、舞台のアドリブで冗談で「歌手はみんなダンサーをゴミカスみたいに扱うけど、郷ひろみさんは大事にしてくれたんだよぉ〜」みたいなことを仰ってましたが、そういう文化がまだ残ってるのかもしれませんね。
ついでに言えば、音楽の世界では、コンポーザーとかアレンジャーの知名度も微妙な感じがします。私が知らないだけかもしれませんが、David GuettaとかCalvin Harrisみたいなポジの人って見当たりませんものね。Madeonみたいな出て来方する人もあまり見たことがないし、Mark Ronsonの『Uptown Funk』なんかも日本だったら例えば『Bruno Mars』名義で出すと思うんですよ。エイドリアン・シャーウッドとか、トレント・レズナー(Nine Inch Nails)とか、一部ではもう教祖みたいな感じですけど、ああいう人もあんまり居ない。
ぶっちゃけ曲が良ければ、歌なんて素人のカラオケレベルでもそれなりにカッコつくんですけどね(笑) (修正とかセレクトとかいろいろ手もありますし)
全体になんとなく、「俳優とジャニタレとお笑い芸人以外は芸能人じゃない」、「シンガー以外はアーティストじゃない」という風潮があるように思います。発信側がそういう姿勢だと、悪循環なんですよね。少なくとも、希望に燃えた青少年のやる気が挫かれない世界になって欲しいと思います。
というわけで、明日から関西遠征です。それではまた。
2015年5月1日22:31更新
赤坂杳子